大判例

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東京地方裁判所 昭和38年(ワ)2295号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕((証拠))を綜合すると、被告((編注、その商業は、杉田工業株式会社))は土地建物の賃貸借並に売買を主目的とする会社であり、訴外杉田産業((編注、杉田産業株式会社の略称))は船舶漁業土木建設各種資材等の製作加工販売を主目的とする会社であるが、両者の役員は一人を除いて悉く共通で、その代表者で経営上の主宰者はともに杉田俊丸であり、両者の事務所はいずれも被告所有の杉田ビル内に存し、ともに右杉田俊丸一族の同族会社であること(両者ともに右杉田の同族会社であることは当事者間に争がない)、被告車の自動車登録原簿上の所有名義人は被告で他に杉田産業の管理する同種の自動車数台の所有名義人も同様であつたこと、右車は杉田産業の資金により駐留米軍より払下を受けたクレーンに車台を取付けて特殊レツカー車としたものであること、被告車について東都クレーン((編注、有限会社東都クレーン工事の略称))との間に交わされた賃貸借契約書における貸主名義は杉田産業となつて居り、その賃料の請求、取立は杉田産業においてなしていたことなどの事実が認められる。上記事実に弁論の全趣旨(特に被告車が被告の所有に属し、これを杉田産業を通じて東都クレーンに賃貸したことの当初の陳述を後にいたつて翻し、事実摘示記載のようにあらためた被告の弁論態度)を綜合すると、被告車は被告および杉田産業の共有に属し、その実際の利用管理は杉田産業が当ることになつていたもので、従つて被告車の東都クレーンに対する貸主もまた右両者であると認めるのが相当である。そして、((証拠))によれば訴外東都クレーンの代表者であつた和田は昭和三二年頃駐留米軍払下物資の取引を通じて杉田俊丸と知り合い、同三五年にいたつて同人に相談の上資金面の援助を受けて荷役作業の請負を主目的とする東都クレーンを設立し、その事務所を被告より借り受けた杉田ビルの一階の一隅に置き、また電話の応待、従業員に対する作業の指示、給料の交付などについて前記杉田や杉田産業の従業員の手を借りるなどの便宜を得、さらに適宣右杉田の諒解を得て杉田産業の名を用いて業務の遂行をはかることもあつたこと、被告車について定められた賃貸期間は昭和三五年五月より一年間、賃料額は一ケ月一〇万円で、右額は通常に比し極めて低廉であつたこと、訴外阿部は杉田産業の従業員ではなかつたが時折依頼を受けて同社の業務の手伝いをすることもあつたことなどの事実が認められ、これらの事実に当事者間に争のない右阿部が事故当事東都クレーンの被用運転手で、本件事故は同人が同社の業務の遂行中に発生したものである事実(原告は右阿部は当時杉田産業の従業員をも兼ねていた旨主張するが、これを認めるに足りる証拠は存しない)を綜合すると本件事故発生時における訴外阿部の被告車の運転は直接には東都クレーンのためにするものであつたとしても同時に間接的に被告車の貸主である被告のためにもするものと認めるのが相当で、従つて被告は本件事故により原告が被つた損害につき、他に免責事由が認められないかぎり、その運行供用者としての責任を免がれ得ないというべきである。(鈴木潔)

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